sinc関数の広義積分 複素積分編
複素積分を用いて,以下を示します.
導入
次の複素積分を考えましょう.
コースは以下の図のの和です.
細かく言うと,たちは以下のように定義しています.
経路の向きはの増加方向です.
(1)の右辺
複素関数 は 全域で正則です.よって被積分関数 は原点 のみが特異点で,それ以外の領域 では正則となります.
コースには原点が含まれていないため,式(1)の右辺はになります.
ここで,コースとコースは実軸上なので,実はただの実積分です.
ここで,最後に積分値を文字で置いたのは
と表されるからです.
これは目標の式と同じですね.
この項では以下の重要な定理を用います.
を曲線の長さ,上で のとき,
この定理は,以下の実積分の定理
のとき,
を複素積分に拡張したものになっています.
では,
にこの定理を適用してみましょう.
上ではと表されるので,
です.
また,を用いてと表すと,
より,
よって定理より,
ここで,のときなので,
です.
つまり,
がわかります.
は時計回りで計算しにくいので,反時計回りの
を使って考えます.
もちろん,
です.
複素指数関数の定義を確認してみましょう.
これを被積分関数
に代入してみます.
について場合分けするために,
と置きます.
上ではと表されるので,
なので,
の場合
の場合
以上より,
よって,
以上のことをまとめます.